- 多発性内分泌腫瘍症1型とはどのような病気ですか?
- MEN1ではどのような病気があらわれるのですか?
- MEN1でできる腫瘍は悪性なのですか?
- どうしてMEN1になるのですか?
- どのようにして MEN1と診断されるのですか?
- MEN1患者の症状は皆同じですか?
- MEN1ではどのような治療が行われるのですか?
- MEN1は治りますか?
- 遺伝子に原因があるならば、遺伝子治療はできませんか?
- 遺伝カウンセリングとはどういうものですか?
- 子どもは欲しいのですが、病気が遺伝することが心配です。
- 子どもに病気が遺伝しているかどうか不安です。
- MEN1についてもっと知りたいのですが・・・
- 他にも役立つサイトはありますか?
札幌医大附属病院の遺伝子診療科では、遺伝の問題について心配や不安を持っている方や、ご本人やご家族が遺伝性の病気である可能性を告げられた方のご相談をお受けしています。
信州大学医学部附属病院遺伝子医療研究センターでは、毎月1回MEN専門外来を開設しています。詳しくはこちらをご覧ください。
信州大学医学部附属病院セカンドオピニオン外来では、MENについてのセカンドオピニオンも受け付けています。詳細や受診方法は、セカンドオピニオン外来HPをご覧ください。
京都大学医学部附属病院遺伝子診療部では専門の医師によりMEN(MEN1/MEN2)の診療を行っています。詳しくはこちらをご覧ください。
MENの患者さん、ご家族を対象としたニューズレター『むくろじ』を発行しています。ご購読のお申込・バックナンバー閲覧は、こちらから。
top>MENについて>MEN1とは?>10.遺伝カウンセリングとはどういうものですか?
10.遺伝カウンセリングとはどういうものですか?
遺伝カウンセリングとは遺伝性の病気について、患者さんや家族が診断や治療のことも含めて病気に対する正しい知識を持ち、遺伝のしかたや家族への影響を正しく認識し、それらに基づいた将来へ向けての意志決定を援助する医療行為です。MEN1の遺伝カウンセリングが必要となる場合には、
- すでにMEN1と診断されている患者さんや家族に対して、この病気についての理解を助けるための情報を提供する場合
- MEN1が疑われるが臨床的には確実に診断ができないため、遺伝子検査を診断に用いようとする場合
- 患者さんの家族に対して、同じ変異を持っているかどうかの遺伝子検査を行う(保因者診断)場合
- 結婚や出産に際しての悩みに対するカウンセリング
などさまざまな場合があります。特に遺伝子検査は遺伝カウンセリングなしに行われるべきではありません。
人の遺伝子は生涯変わることがなく、また遺伝子検査は病気を発症する前に診断を可能にします。このことは早期発見、早期治療という点では非常に有用なのですが、まだ何も健康上の問題を感じていない人が将来の発病を予告されるということは大きな精神的負担を伴うものです。また遺伝子の情報は個人個人の最高のプライバシーと考えるべきものであり、完全な守秘が保証されている状況でない限り安易に検査を行うべきではありません。しかしその一方で、ある人に遺伝子変異が見つかった場合は、自動的に家族の人も一定の確率で同じ変異を持っていることになります。つまり遺伝子の情報は個人個人のものでありながら、一方で家族とも共有しているという性質を持っています。さらに遺伝子検査の結果は自分自身や家族に対するイメージや自尊心にも影響を与える可能性があります。
遺伝子検査にあたっては、遺伝子検査のこうした特徴をよく理解した上で、自分自身で遺伝子検査を受けるかどうか判断することが必要です。その判断のためのさまざまな情報を提供する場として遺伝カウンセリングが行われます。遺伝カウンセリングでは、遺伝子検査の利益と危険性、検査の限界や検査方法、遺伝子検査以外の選択肢、遺伝子検査の結果が家系内の個人個人や家族全体にとってどのように影響しうるか、などについて説明がなされます。また遺伝カウンセリングでは遺伝子検査の結果を親族の誰にどのように伝えるべきかといった問題や、就職や生命保険、がん保険の加入に関する問題について情報の提示が行われたり、議論されたりします。遺伝カウンセリングは遺伝医学、看護学あるいは心理学に関する十分な知識を持ち、カウンセリングについて専門的な訓練を受けたものが行うことが望まれます。
遺伝カウンセリングは遺伝子検査を行い、結果が明らかになった時点で終了するものではありません。患者さんは一生MEN1という病気とつき合っていくわけですから、専門医や検診機関への橋渡し、最新の情報の提供、あるいは患者さんや家族への長期にわたる心理支援も遺伝カウンセリングの重要な役割です。