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top>MENについて>MEN2とは?>2.MEN2 ではどのような病気があらわれるのですか?

2.MEN2ではどのような病気があらわれるのですか?

ここでは MEN2 で影響を受けやすい臓器とそこにおきる病気について説明します。

下図の赤字の症例名をクリックすると、別ウィンドウで説明をご覧いただけます。

甲状腺

甲状腺はのどぼとけの下あたりに、蝶が羽根を拡げたような形で気管に張り付くように存在しています。ここでは甲状腺ホルモンという私達の身体の機能を維持する上で欠かすことのできないホルモンを合成・分泌しています。甲状腺は大部分がこうした甲状腺ホルモンを作る細胞からできていますが、それとは別に傍濾胞細胞(ぼうろほうさいぼう、細胞ともよばれます)とよばれる特殊な細胞も少数存在しています。C細胞はカルシトニンという、血液中のカルシウム濃度を下げる作用を持つホルモンを産生していますが、 MEN2ではこの C細胞が高率に腫瘍化します。こうしてできた腫瘍を甲状腺髄様癌とよんでいます。
甲状腺髄様癌は甲状腺にできる癌全体の2%弱を占める程度の、もともと頻度の少ない腫瘍です。 甲状腺髄様癌は特に症状を引き起こしません。腫瘍が大きくなってきた時に首にしこりを触れるようになるのが唯一の自覚症状と言えます。 また甲状腺髄様癌ができると血液中のカルシトニン濃度が高くなってきます。ただしカルシトニン濃度が高くなっても実際に血液中のカルシウム濃度が低くなることはありません。したがってこの病気の診断には甲状腺の超音波検査と血液中のカルシトニン濃度の測定が不可欠です。甲状腺に直接針を刺して細胞を採取する吸引細胞診という検査も多くの場合必要になります。

甲状腺髄様癌は「がん=悪性腫瘍」であることには違いありませんが、一般の癌に比べるとその性質は比較的おだやかと言えるかもしれません。以前に日本で行われた調査では診断がついてから10年後の生存率は92%でした。ただし腫瘍の悪性度はMEN2のタイプによっても若干異なり、MEN2Bでは悪性度が高く、一方FMTCでは悪性度は低いと考えられています。甲状腺髄様癌が進行すれば周囲のリンパ節や肺、骨、肝臓などに転移し、そのための治療が必要になってきます。

MEN2の体質を持つ人は、10歳台からすでに甲状腺のC細胞に癌の前段階と言える変化が現れ、これが後に癌に進展します。このためあとで述べるように、早期にMEN2の診断を行い、病気が進行する前に適切な対処をすることがとても重要になります。

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副甲状腺

私達の身体には通常4個の副甲状腺があり、甲状腺に接して存在しています。副甲状腺は米粒よりも小さいものですが、ここから分泌される副甲状腺ホルモンは血液、骨、そして尿中のカルシウムの量を正常に維持する働きを持つとても重要な臓器です。

MEN2Aの患者さんの一部では副甲状腺の働きが高まり(副甲状腺機能亢進症)、過剰の副甲状腺ホルモンが分泌される結果、血液中のカルシウム濃度が高くなります。高カルシウム血症のために尿中に排泄されるカルシウムも増加し、これが尿路結石や腎臓の機能障害を引き起こすことがあります。また高カルシウム血症は間接的に胃十二指腸潰瘍を起きやすくします。MEN2BやFMTCの患者さんでは副甲状腺に異常は生じてきません。

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副 腎

副腎は左右の腎臓の上に帽子を載せたように接している小さな内分泌臓器です。この副腎は外側の「皮質」と内側の「髄質」に分かれており(おまんじゅうで言えば皮が皮質で餡が髄質)、それぞれ別のホルモンを産生しています。MEN2では髄質に褐色細胞腫とよばれる腫瘍ができてきます。
副腎髄質はアドレナリン(エピネフリン)やノルアドレナリン(ノルエピネフリン)とよばれるホルモンを産生しています。これらのホルモンはカテコラミンと総称されています。カテコラミンは多くの場合興奮に関連して分泌されます。私達は興奮したり緊張したりすると血圧が上がり、脈が速くなり、さらには汗をかいたりしますが、これらはどれもカテコラミンの作用によるものです。褐色細胞腫ができるとカテコラミンが大量に合成・分泌されるため、高血圧、頭痛、発汗、血糖の上昇といった症状が現れます。 これらの症状は持続的にみられることも発作的に現れることもあります。高血圧以外の症状が全く見られない患者さんの場合は症状から褐色細胞腫を疑うことが難しくなりますが、この病気を放置すると突然の心臓発作や脳出血を起こし、生命にかかわることもあります。したがってMEN2の体質を持つ人は褐色細胞腫ができていないか定期的に検査を行うことが重要になります。検査は血液中や尿中のカテコラミンの量を測定し、CTやMRIといった画像検査で腫瘍ができていないか確認します。

褐色細胞腫は副腎髄質以外の場所にできることもあります。副腎以外で最もできやすい場所は腹部の大動脈周辺です。

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